IT業界の著名人であるイーロン・マスク氏と、彼が共同設立した人工知能(AI)研究機関OpenAIとの間で裁判沙汰となっていた騒動が、ついに終結を迎えました。
マスク氏は、OpenAIが非営利組織としての当初の使命に背いたとして提訴していました。OpenAIはマイクロソフトと提携し、営利目的の事業を立ち上げたことが問題視されたのです。
しかし、裁判所資料によると、6月11日にOpenAIが却下を求める審問が行われる直前、マスク氏は突如として訴えを取り下げました。
裁判所の記録上は「無判決棄却」となっており、マスク氏が今後再び提訴することは可能です。
マスク氏の主張:人類を守るための訴訟
マスク氏は、今回の裁判を「人類を守るため」に起こしたとしていました。OpenAIとマイクロソフトの提携により、安全よりも利益が優先され、危険な「汎用人工知能(AGI)」開発が加速してしまうおそれがあると主張していたのです。
興味深いのは、訴訟の原告はマスク氏一人であったにもかかわらず、訴訟の受益者は「人類」であると主張していた点です。しかし、裁判所への提出資料の大半は、OpenAIとの提携によってマスク氏がいかに金銭的な損害を被ったのかを訴える内容でした。
OpenAI側の反論:マスク氏の嫉妬
OpenAI側は、マスク氏の訴えに対し、彼が会社に関与しなくなったことを妬んでいるだけだと反論しました。OpenAIは、マスク氏が営利モデルへの移行を支持するメールの存在を公開しました。
さらに、マスク氏がOpenAIをテスラに統合する提案をしていたことや、OpenAIが営利モデルに移行しなければ失敗していただろうという発言も暴露されました。OpenAIのCEOサム・アルトマン氏や社長のグレッグ・ブロックマン氏ら幹部は、OpenAIがマスク氏なしで実のある成果を上げ始めた途端、マスク氏は訴訟に持ち込んだと主張しています。
裁判劇の裏側:マスク氏とOpenAIの確執
今回の裁判劇は、AI開発をめぐる思惑のぶつかり合いを浮き彫りにしました。
マスク氏は、OpenAIに対抗してxAIというAI研究会社を設立しており、最近の資金調達で240億ドルの評価額を獲得しています。また、マスク氏はOpenAIに対して批判的な発言を繰り返しており、先日も、ChatGPTが搭載される可能性があるiPhoneの使用を従業員に禁じる可能性を示唆し、ChatGPTを「不気味なスパイウェア」と表現していました。
まとめ
マスク氏とOpenAIの確執がどのように展開していくのか、そして、安全と利益のはざまにあるAI開発の未来がどうなるのか、注目が集まっています。
引用元:https://aibusiness.com/responsible-ai/musk-drops-openai-lawsuit-days-before-dismissal-hearing
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